2010年3月23日火曜日

eウイルスと雑菌

 新型インフルエンザウイルスの大流行は、やっと一段落したようである。今から思うと、あの騒ぎは一体何だったのかと思うことがある。

 一般に“ウイルス”と言えば、インフルエンザウイルスに代表される生物学的なウイルスのことであるが、この世にコンピュータウイルスが登場してからは、単に“ウイルス”と言っただけではどちらを指すのか曖昧になってしまった。もちろん多くの場合、前後の関係から判断してどちらを指すかは容易に判断できることが多い。しかし、たとえば文章の中に“ウイルス”という語が出てきたとき、どちらを指すのか分かるまでにはかなり文脈をたどらなければならないこともある。そこで、正確さを重視してコンピュータの場合には「コンピュータウイルス」と書くことにしたのである。

 ところが、コンピュータウイルスの知識が世間に広まるにつれて、特に断らなくても“ウイルス”と言えばコンピュータウイルスを指すと理解されるようになってしまった。つまり、生物学的なウイルスよりもコンピュータウイルスの方が、我々には身近な話題になってしまったのである。これが良いことなのかどうかは分からない。
 そこに、新型インフルエンザウイルスが登場し、世間を騒がせる事態になった。そして生物学的ウイルスの方が、再び我々にとってより身近な存在に返り咲いてきたのである。

 これからは、単に「ウイルス」と言えば、インフルエンザウイルスが流行る時期は、インフルエンザ等の生物学的ウイルスを指し、コンピュータウイルスが猛威を振っている時期はコンピュータウイルスの方を指す、と巧みに区別しなければならないことになった。これは、かなりやっかいなことである。
 そこで、後発のコンピュータウイルスの方が一歩譲って、これからはコンピュータウイルスは eウイルス と書くことにしてはどうかと思うのである。「eブック」、「eラーニング」、「eメール」、「eコマース」等の前例があるではないか。

 しかし生物学的ウイルスの複雑・精緻な構造に比較して、コンピュータウイルスの構造はいかにも粗雑である。あれは“ウイルス”などと呼べる代物ではなく、精々が“雑菌”程度のものではないかと思う。世のクラッカー達は、あんな雑菌程度のもの(「e雑菌」と呼ぶべきか?)を喜々として作り、自慢げにまき散らしたりしている。まさに笑止千万!ではないか。

【追記】本文のリライト版【素歩人徒然】「ウイルス感染」も参考にしてください。

2010年3月8日月曜日

怒りの感情を抑えるには

 自分の感情、特に喜びや、悲しみ、怒りなどの激しい感情を抑制するのは大変に難しいことである。私の場合、怒りの感情を抑えるのは特に難しいと実感している。抑制できずに随分と失敗を重ねてきている。

 一般に自分の感情をコントロールするには、まず他人に話して同感してもらえる程度にまで、自分の感情を抑制し平静さや落ち着きを取り戻すことが必要である。
 自分の気持ちを聞いてくれて、それをよく理解してくれそうなのは、やはり肉親あるいは友人など自分の周辺に居る人たちであろう。理解してもらえる可能性の高い順に並べると、
 (1)肉親
 (2)友人
 (3)知人
 (4)見知らぬ他人
のようになるのではないかと思う。
 インターネットの時代では、(4)の見知らぬ他人に理解してもらうことが可能となった。人によっては、(1)(2)よりも(4)の方が、よりよく自分を理解してくれると思う人が増えてきている。しかし、この方法には危険もともなうのである。

 自分の周辺に(1)(2)(3)に該当する人が居なければ、最初から(4)に頼ることになる。インターネット上で、運よく心を癒やしてくれる見知らぬ他人に出会えればよいが、必ずしもそうはならない。出会った人が同感してくれないかもしれない。逆に攻撃されてしまったりもする。あるいは、誰も話を聞いてくれなくて、結果的に無視されてしまうことも起こり得る。そうなると、もはや相談できる相手は誰もいなくなってしまい、逆に怒りや悲しみに火がつくことにもなりかねない。

 我々は、怒りや悲しみに陥って逆境にあるとき、内に引き籠って孤独の中で過ごすよりも外に出るべきであろう。インターネットの世界の見知らぬ他人から解決法を得ようとする前に、見知らぬ他人が生活している実際の世間そのものに、まず出て行くことから始めるべきである。

 周辺の人から同情を得て自分の心を癒やすのもよいが、それは一時的な対症療法に過ぎない。その「怒りや悲しみ」など全く関知しない「見知らぬ他人」と一緒に時間を過ごすのが、一番の解決方法なのである。そして、そんな悩みのことなど何も知らない人々と日々生活するのである。それが、心の健康を取り戻すための一番の近道ではないかと思うのである。

【追記】本文のリライト版【素歩人徒然】「怒りを抑える」も参考にしてください。