2017年1月26日木曜日

東芝カレンダーと東芝病院と

 かつて、私の書斎には常に東芝カレンダーがあった。東芝在職中はもちろんのこと、東芝OBとなってからも、然るべきルートを経由して何とか東芝カレンダーを手に入れてきた。しかし段々とそのルートも細ってきて、最後の頃は東芝健保が送ってきてくれる(少し小型の)ものしか入手できなくなった。

 そして数年前、後期高齢者となり東芝健保を離れることになって以来、東芝カレンダーは入手できなくなってしまったのである。そのとき私は、これで本当に東芝とは縁が切れたのだなぁと寂しい思いをしたのを覚えている。以来、私の書斎には東芝のカレンダーはない。

 今日、東芝病院の総合検診センターで人間ドックの検査を受けてきた。東芝との関係で残ったのは、結局のところ私の“病気”だけ、ということに気付いて増々滅入るばかりである。

 検査がすべて終り食事のためセンターの3階に行くと、受付窓口の前に大きなダンボールの箱が置いてあり、中に沢山のカレンダーが入っていた(もしや!)。「ご自由にお持ち下さい」とある。東芝のカレンダーだ! 私は少し興奮していたので、一瞬「全部持ち帰りたい」という気持ちになっていた。しかしそこはそれ、何んと言いますか、・・・ それそれ「大人の良識」というものがありますから、さりげなく1本引き抜いただけでその場を離れたのであった。

 昨年末にカレンダーを配って残った分なのであろう。そのとき閃いたのである。なるほど1月末というこの時期に人間ドックを受診すれば、あの懐かしい東芝カレンダーが難なく手に入るのだと。素晴らしい方法じゃないですか。もう誰の手も煩わせることなく手に入れる方法を発見したのである。しかし同時に、昨日の夕刊で報じられていたニュース「東芝病院 売却へ」のことも思い出してしまった。あぁ・・・今年限りなんだ!

 さよなら、東芝カレンダー。さよなら、東芝病院。■

2017年1月15日日曜日

情報の永久保存

── 情報コンテンツを永久保存する方法
 
 ウェッブ上に掲載した情報をそのまま永久に保存する方法を考えた。グーグル社の無料ブログサービス“Blogger”上に画像としてアップロードすればよいことに気が付いたのである。
 この方法の実現可能性、具体的に言うと技術的な側面と道義的な側面の両方について読者のご批判を受けたいと思い紹介することにした。私の意図を正しく理解してもらうには、少し回り道になるがこれまでの経緯から始めることにする。

1.これまでの経緯 

ホームページの終活 
 私がウェッブ上にホームページを開設してから今年で満20年となる。構築したホームページが占める領域は時の経過とともに膨大なものになってきている。その上、世の中ではウェッブ上の表現方法がテキスト中心のものから視覚に訴える画像中心のものへと変わってきた。そのため容量不足が増々加速し、画像データの保存法の見直しが緊急の課題となってきた。

 この間、いろいろな経緯があって3つの有料サイトを利用しているので、容量の大部分を占める画像データを3つのサイト間とその他の無料のサイト間に分散して置くなどして何とか凌いでいるのが現状である。少なくとも一か所にまとめて管理したいと思っているのだが、なかなかうまい解決法が見つからない。

 私にもしもの事があった場合の事後処理については、当然のことながら考えてきた。病気などでホームページが長期に渡り更新されないでいると「更新セルフチェック機能」が動作するようになっていて、1ヶ月後、6ヶ月後、1年半後・・・と間隔を置いてお詫びのメッセージが表示され、2年が経つとお別れのメッセージが掲示されるようになっている(素歩人徒然「身辺整理」参照)。しかし有料サイトなので使用料が未納になれば、ホームページは忽ち削除され消滅してしまう運命にある。
 要するにホームページの“終活”に取り組まねばならぬ時期となったのである。

写真アルバムだけは残したい
 私の個人的な情報は消滅して構わないが、どうしても残さねばならないものがある。たとえば、学生時代の同期生のホームページやブログの管理を私が担当しているので、その後始末を考えなければならない。現時点で後継者は見つからない状態なのである。

 小学校、中学校、高等学校、そして大学の仲間たちとの集まりで撮影した写真がアルバム状に編集された形で多数存在する。企業人時代の昔の同僚たちとのOB会で撮った写真もある。これらをどうするか。

 私と同世代の仲間達との記録であるから、遅かれ早かれ私と前後していずれは写真アルバムも消えていくことになろう。見る人がいなくなるのだからそれで構わないと今までは考えていた。しかしホームページやブログの管理をしていると本人以外の人達が結構写真集を見ていることに気が付いた。
 見知らぬ人からいろいろな問い合わせが来る。たとえば、

・自分の父親が長年行方不明で連絡が取れない。消息が分からないか。もし分かったら教えて欲しい。
・海外に長年住んでいるが、偶然ホームページを見つけて日本の昔の級友と連絡が取りたくなった。
・偶然ホームページを見つけ主人のことが書いてあるので・・・と奥様から近況報告が届く。

 つまり当事者だけでなくその親族や関係者も参照しているのだ。私の経験でも、今は亡き自分の父親の名前や祖父の名前で検索を試みると、かなりの情報が得られるのを実際に体験し便利な世の中になったと思ったものである。インターネットの時代では、フルネームの名前(特に漢字表記がよい)さえ分かれば(インターネット時代以前の人であっても)その人に関するかなりの情報が得られる。そして一度情報をつかめれば、そこからまた別の情報が芋づる式に手繰り寄せられるようになる。私たちが作っている写真アルバムはその世代の人々だけでなく、その子孫の世代の人達にとっても将来重要な情報源となる筈である。

 写真アルバムなら Facebook 等のSNS上に置けばいいと思う人がいるかもしれない。しかしSNSでは限られた人しか見られないし、沢山の写真が登録されたアルバムには向いていないと思う。沢山の写真がある場合は、その縮小版(サムネール)の一覧を見ながら個々に参照するものを選べるようにする方式でなければならない。端から端まで順送りにすべて見なければならない方式はなじまないのである。

 そのため、私は写っている人の名前が個々に分かるようにした独自の写真アルバムを作成し公開してきた。この写真集だけは残したいと思ったのである。

2.画像ファイルの保存

さて、ここからが本論である。

画像ファイルはG領域に保存する
 私の利用しているブログは、グーグル社のブログ( https://www.blogger.com/ )なのだが、これを長年使っていて偶然気が付いたことがある。ブログに投稿する目的で画像をアップロードすると、グーグルブログ固有の領域(ここでは“G領域”と呼ぶことにする)にデータが保存され、適当なサイズに調整されて画面に表示できるようになる。サイズを変えたければ「」,「」,「」,「特大」,「元のサイズ」から適当に選んで何時でも(極端な話、何年後でも!)変更することができる。しかも、G領域内の場所さえ分かっていれば、他人のブログからでも参照できる。いや、ブログに限らずウェッブ上のどこからでも参照できるのである。これは私にとって驚くべきことであった。

 つまりブログ上で作成した投稿の“HTML表示”の画面から場所の情報だけを抜き出してくれば、何処でも、誰でも、利用できるということである。最初にアップロードされたデータは常にG領域中に保存されている(継続的に保存される!)。他人のデータと一緒に管理されているらしい。セキュリティの面で心配する人がいるかもしれないが、種々雑多な画像データの“混沌”の中に散在する形で置かれているので盗まれる心配はない。これは、プログラミングの世界で使われている“ハッシュ(Hash)”と呼ばれる記憶方式とよく似ているように思う。

 ハッシュ領域には、どのようなデータ型のものでも置くことができる。それを取り出すには“キー”が必要で、それぞれのキーがそれぞれのデータを指し示している。このキー自身もハッシュの中に保存されているので、キーを知っていれば誰でもデータにアクセスできる。この考え方と全く同じであることに気が付いたのである。G領域は“Gハッシュ”と呼んでもよいのかもしれない。

画像データの利用法

 たとえば、


timelessEdition.jpg

という画像をG領域に置いたとする。そのデータは以下の文字列 「https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhxK2ycYXw771EXZwrki9-3mdC5zSswucysdPIZxP_kebHkR0I8cOvm667HmSnpNUQGHIcCvn9uDEcVI1Dej-yeyAQLOHOITSMbgXMZMJCwcsQoICFZKM3XTkfJHdX-BUN6xxHe/s1600/timelessEdition.jpg
 を用いて取り出すことができる。

 ・文字列の前半部分 「https://blogger.googleusercontent.com/img/b/R29vZ2xl/AVvXsEhxK2ycYXw771EXZwrki9-3mdC5zSswucysdPIZxP_kebHkR0I8cOvm667HmSnpNUQGHIcCvn9uDEcVI1Dej-yeyAQLOHOITSMbgXMZMJCwcsQoICFZKM3XTkfJHdX-BUN6xxHe/
がキーである。これさえ知っていれば、誰でも、何時でも、何処にいても、恒久的に取り出すことができる。
 ・文字列の最後の部分
s1600/timelessEdition.jpg」 の「s1600」は取り出すときのサイズ(横幅)をピクセル数で指定する場所である。

  大きさ    サイズ(ピクセル数)
 「小」     200
 「中」     320
 「大」     400
 「特大」    640
 「元のサイズ」 1600

・“/”で区切られた最後の部分「timelessEdition.jpg」は、画像をアップロードしたときの名前になっているが、取り出すとき新たな名前に変更することもできる。ただし画像の種別(jpg, gif,...等)は変えられない。

つまり、

   <キー>/[s<サイズ>/<名前>] 

の順に指定する([ ] はオプションの意)。


3.ソーステキストの保存

このようにG領域に置かれた画像データは半永久的に残せるが、それを使ったソーステキスト(HTML形式のファイル)も保存しておかないと意味がない。

テキストはブログ上に残す
 HTML形式のソーステキストはブログ上に投稿して残すことにする。グーグルがG領域を半永久的に残す覚悟なら、当然無料ブログも残されるであろうと考えた。

 しかしブログによる投稿では、限られた機能しか使えずアルバムをそのまま保存するのは難しいことが分かった。

 ブログの投稿では、投稿欄に書き込めばその都度HTML言語に変換されていく。実はこの方式が問題なのである。実に使い難い。
 投稿内容が完成したら初めてHTML化するのではなく、その都度変換されていくので投稿画面上で修正を繰り返していると、その履歴がそのまますべてHTML画面上に残される形で変更が積み上げられていく。

 その結果HTMLプログラムは修正の上に修正が積み上げられた悲惨な状態になる。HTML部分だけを見ても何が何やら分からない混沌としたプログラムになってしまう。それでもうまく表示できれば問題ないのだが、試しにプレビューで表示してみると、投稿画面で意図したものとは似て非なるものになっている。途中に大きな空欄が出来ていたり、文字が小さかったり、大き過ぎたりするので修正しても意図通りにはならないことが多い。修正が効かないのである。仕方なくHTMLプログラム上でそれらしき所を見つけて強引に修正することになる。

 投稿画面上でいろいろ修正を重ねるのは混乱の極みであることが分かった。修正の必要がないしっかりしたものをあらかじめHTML言語で作っておいて、それをHTML画面に直接張り付けてしまう方法が一番効率的である。

 もう一つの問題は、ブログの特性からくるものでHTMLテキストが1ページ分しか投稿できないことである。私の写真アルバムは複数のディレクトリを利用して階層構造になっており複数のHTMLテキストから成り立っている。つまり複数ページなのである。

 そこで、ブログに投稿するために無理やり変換し1ページのHTMLテキストに作り変えることにした。それをHTML画面に張り付けたのだが、ブログが処理するには複雑過ぎて拒否されてしまうことが分かった。ブログ側が設定したテンプレートの枠内で動作するように収めなければならないので制約が付くのは理解できるが、簡単な記述のHTMLテキストしか受け付けてくれないようである。しかも、採用したテンプレートごとに様子が異なるのである。

 そこで、できるだけ広くHTML言語を受け入れてくれるテンプレートを選び、その範囲内で記述する簡易版のHTMLテキストを作ることにした。表示は稚拙でも無いよりはましである。私が表示したい凝った記述のHTMLテキストは、HTML欄ではなくテキスト欄に隠して保存することにした(将来これを利用できる時代が来ると信じて)。文字列は白字で見えないようにする。

 以下に例を示す。

例:「写真をネガから復元する」
 
昔の写真をネガから復元する
 が簡易版である。

 正式版はその後ろに書き込んであるが白字で隠されている。この場所をドラッグしてコピーし、HTMLテキストにすれば私が表示したかった写真アルバム(これはサンプルですが)を見ることができる筈である。簡易版との違いを比較すると面白いかもしれません。

テキストを画像に埋め込む
 正式版を白字で示すという方法は、場所を取るのであまり美しくない。文字のフォントを最小にしてみたが差はなかった。そこで、どうせブログ外でしか表示できない代物だから、コンパクトにまとめて残すことができないかと考えた。

 実は、画像データがG領域で半永久的に残せると分かったとき、私は gifファイルを活用すればテキストも残せる筈だと確信した。gifファイルの設計経験のある人なら誰でも知っていることだが、gifファイルにはコメントを記入する場所が用意されている。試しにそこにテキストを記入してみたところ、半角文字で約3,300文字分くらいまでは書き込めることが分かった。テキストを分割すればいくらでも書き込む余地は残されている。

 試行したものを例示する。

例:「テキストを画像に組み込む」

butterflywithText.gif の例

興味のある方は以下を参照してください。
テキストを画像に組み込む

 しかしgifファイルの扱いに不慣れな人は利用できない手法だから、これでは実用にはならない。最近は、画像ファイルにウイルスを埋め込む悪い輩もいるから、それと同列と見做されるのは避けたい。

個人情報の扱い
 最後に、個人情報の扱いについて触れておきたい。
 前述したように、写真アルバムは将来重要な情報源となり得るから、その写真アルバムに個人名をフルネームを書き加えたい。しかし個人情報保護法に厳密に従うと、無暗に個人の名前や写真を(本人の承諾なしに)インターネット上に公開するのは憚られる世の中である。これは本人の年齢に関わりなく尊重されなければならない。これからは「名前を公開したくない人は申し出てください」という注意書きを必ず添えることで許してもらおうと思う。

 この法律のために昔の学校時代の友人と連絡を取ったり、その消息を尋ねたりする手段がなくなり困っている人が多い。そういう現状をよく知ってほしいものである。我々の年代では、むしろお節介でも名前を書き添えてあげた方が良いように思うがどうであろうか。それも、写真画像の一部として書き込むのではなく「検索可能なテキスト」として残すことが特に重要なのである。

4.最後に

まだまだ不完全ですが、この方式が広く使われるようになることを願って、テスト的に「情報保管庫」を作成したので参考にしてください。

 目立つように「永久保存」などという表現を用いてきたが、グーグル社のやり方を利用しているので、当然のことながらグーグル依存と言うべきであろう。

 これまで蓄積された大量のデータを、グーグル社は単に無料サービスだからと言って突然止めるようなことは道義的に許されないと私は考えている。グーグル社はそんなことはしないだろうと信じての提案である。

 上記ブログ上では“ほぼ永久保存”という表現にしてあります。■


2017年1月2日月曜日

「ソフトウェアと定年」(初版原稿)

── 社内掲示板に投稿した初版の原稿
 
古い資料を整理していて、以前書いた「ソフトウェアと定年」というエッセイの初版がプリントされたものを発見した。これはテーマが余りに私的なものだったので、これまで社外のインターネット環境に掲載したことはない(一部手直しして『ソフトウェアの法則』(中公新書)に掲載)。しかし当時の青梅工場のことが記述されているので懐かしく思いながら読み返してみた。
 東芝の不正会計問題を発端とする一連の騒ぎの中で東芝のコンピュータ開発の由緒ある拠点(青梅事業所)は売却されてしまった。この地で会社生活のほとんどを過ごしてきた私は、単に「さびしい」というような単純な言葉では表現できない程の無念の思いを抱いている。青梅工場への鎮魂の思いを込めて、ここに掲示することにした(テキストファイルは存在しないので画像化しました)。

(読みにくい場合は、[こちら]を参照してください)