2011年2月18日金曜日

ごみの分別

 私めの住んでいる地区では、普通ごみの収集日は月曜、水曜、金曜の週3日である。その日の朝になると、抜かりなくごみ箱を通りの所定の場所に出しておかなければならない。収集車の音を聞いてから慌てて出しに行く(時々ある)という醜態は演じたくないからである。

 以前はどんなごみでも構わず出せたのだが、最近は資源ごみの再利用をしやすいよう出す側であらかじめ分別することが求められている。普通ごみ以外の物はまた別の日に出さねばならない。そのルールをよく覚えていないと回収されずに路上にそのまま残されることになる。間違って出し回収されなかった物を自分の家に持ち帰るのは実に惨めなものである。

 普通ごみ以外の物としては、
・資源物
 (空き缶、ペットボトル、空きびん、使用済み乾電池など)
・小物金属
 (30センチ未満の金属製品、かさ、針金ハンガーなど)
・粗大ごみ
 (30センチ以上の金属製品、50センチ以上の家具類など)
などで、それぞれ収集日が決められている。粗大ごみは有料である。

 回収の対象とされない物もある。
・処理が困難な物
 (重い物、長い物、処理作業に危害を及ぼす物、有害物質)
・ボタン式電池・充電式電池
・在宅医療廃棄物
・パソコン
・自動二輪車
・家電4品
 (エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機)
・携帯電話

 これらは購入店あるいはメーカーに依頼する必要がある。あえて捨てると不法投棄という犯罪行為とみなされる。

 このような細かいルールをよく覚えていないと恥をかくことになる。以前の、何でも自由に出せた頃が懐かしい。

 さて、これからが本論である。
 コンピュータの世界でも、我々は「ごみを捨てる」という行為を毎日繰り返している。時には、一度捨てた物をごみ箱の中を漁って探し出し、再び取り戻してきたりしている。誰も見ていないとはいえ、いや、浅ましき行為と言うべきであろう。
 男は、一度捨てた物は(たとえ、それがお金であっても)決して拾ったりはしないものだ。とは言え、やはり大切なものは拾って元に戻す方がいいに決まっている。どうせ誰も見ていないのだから。

 私は、システムがそなえている通常の“ごみ箱”とは別に、圧縮型のごみ箱を自作して用いている。ここに捨てるのは主にメール類である。毎日多量の迷惑メールが届くので、それを一括してこの“圧縮ごみ箱”に廃棄する。しかし本来受け取るべきメールが、誤って迷惑メールとみなされてしまうこともあるので、安全のために圧縮ごみ箱の中身は1か月間くらいは保管しておく必要がある。

 迷惑メールの中には、当然ウイルスメールも含まれているから、自分は廃棄した積りでいてもウイルス検索プログラムによってそれが検出されてしまうことがある。捨てた物に対して「ウイルス発見!」と大声で騒ぎたてられるのは困ったことである。そこで私は、迷惑メールを圧縮ごみ箱の中で圧縮してから保存することにしたのである。しかし最近のウイルス検索プログラムは、お節介にも圧縮ファイルの中までチェックしてくれる。大きなお世話と言うべきであろう。更に、最新の Windows 7 システムは圧縮ファイルの中まで(エクスプローラ上で)見えるようにしてくれる。しかも解凍しなくても、その中のファイルを読み出せるようになっている。これも大きなお世話である。

 最近、私が教えている学生から課題に関するメールが、迷惑メールとして扱われ圧縮ごみ箱に捨てられるということが起こった。指定のアドレスを用いて規則通りに送れば決してそのような間違いは起こらないようになっているのだが、学生が規則に従わずウェッブアドレスを用いて、しかも締切後に送ってきたため見逃してしまったのである。ルール違反だから放っておいてもよかったのだが、そこは武士の情け、圧縮ごみ箱の中を捜してあげることにした。しかしこれが予想外に大変な作業であった。課題メールの発信日が正確には分からない上に、迷惑メールの中には発信日時を偽っているものがあるので時系列にそって捜すことができない。しかも1つのメールが1つのファイルとして構成されているので、検索作業も容易ではなかったからである。

 この時の経験から、私はコンピュータの世界で物を捨てる場合も“分別してから捨てる”ようにすべきではないかと思うようになった。
 その日の迷惑メールをすべてまとめて束ね、その年月日を名前とする圧縮ファイルの“束”を作る。そしてその束を圧縮ごみ箱に放り込んで、更にもう一度全体を圧縮するのである。二度圧縮すると、さすがのウイルス検索プログラムも、Windows システムも手が出せないようである。呵々。
 こうしておくと、ごみ箱を漁る必要に迫られても、束の名前から日付(これは Windows 7 下で見える)が分かるから、迷惑メールの束の候補を2~3束見つけ出して、その中身を調べれば済むことになる。
 これからは、ごみ箱の中身すべてをひっくり返して“ごみにまみれて”捜すというような、浅ましい行為はしなくて済むであろう。

【追記】本文のリライト版【素歩人徒然】「ごみの分別」も参考にしてください。