2013年12月26日木曜日

電話詐欺への対応

 家に電話が掛かってくる。受話器を取り上げるとプツンと切れてしまう。そういうことがこれまで何度もあった。
 ベル が鳴ると、その時やっていた仕事を中断し急いで電話機(または子機)の置いてあるところへ駆けつけるのだが間に合わない。5回くらいのコールで受話器を取ってもすぐ切れてしまうのだから相当に気の短い人が掛けてきたのだろうと考えたりしていた。

 書斎で仕事をしていて机上の子機が鳴った時も、ワンコールで直ぐに取ったのに切れてしまう。これは怪しい! 家に人が居るかどうかの確認をしているのだろうか。そこで気が付いたのである。いわゆる“オレオレ詐欺”の電話かもしれないと。

 “オレオレ詐欺”は、そこで使われる手法が進化(?)する度に名称変更を迫られ、現在は“振り込め詐欺”とか“母さん助けて詐欺”とか、これら三つの名称のいずれかが使われているようである。しかし切っ掛けはいつも家の固定電話のベルが鳴るところから始まるのだから“電話詐欺”と呼ぶのが妥当ではないかと思う。

 私は電話詐欺らしき電話が掛かってきたら、その話に乗った振りをして犯人逮捕に協力したいとかねがね思っていた。しかしこれまでそういう会話をする段階まで進んだことは残念ながら一度もない。どうやら、電話に出た時のこちらの声の調子から、カモには不向きと思われたのかもしれない。そう反省(?)した私めは、できるだけ弱々しい元気のない声で電話に出ることにした。だが、今までのところ効果はないようである。

 “声の調子”ということで気が付いたのだが、今まで「受話器を取り上げたら直ぐ切れた」と表現してきたが、実は受話器を取った直後に、私は「もしもし」という声を発していたのである。それだ! その声から、こちらが男であることを相手に知られてしまったのだ。相手は女性のカモを捜していたのではなかろうか。詐欺師は女性の方が騙しやすいと思っているのかもしれない。

 そこで私は、受話器を取っても一言も声を発しないことにした。これは、はっきり言って効果があった。電話は直ぐには切られなくなった! こちらがしっかりと聞き耳を立てていると、相手の職場(?)の背後の騒音が聞こえてくることがある。事務所のような所で電話している声も聞こえる。あるいは受話器を取った直後に男の声の会話が突然中断された瞬間を捉えることがある。雑談していて電話の相手が出たので雑談を打ち切りこちらに意識を向けた瞬間なのだ。お互いに耳を澄まして相手の出方を窺がう。ドキドキするような瞬間である。こちらは絶対に声を発しない。

 ある程度沈黙の時間が流れると、相手はあきらめて一言も発することなく電話を切るようだ。その直前にこちらから電話を切るのがコツである。何度もやっているとその時間間隔の頃合いが分かってくる。相手に“プツン”とやられるのは気分が悪いものですからね。こちらから“プツン”とやってやると逆に実に気分が良い。
 これはあまり他人には勧められないが、私はその瞬間に相手を侮辱する言葉(2~3音の短い言葉がよい)を発してから素早く電話を切ることにしている(おぬしもワルよのう…)。

 こういうワルいことをする(不作法な)男の提言など聞いてもらえないかもしれないが、私は電話というものは掛けた方がまず第一声を発するべきではないかと思う。電話を掛けられた方はそれを待ってから応答の声を発する。それが礼儀作法(マナー)と言うものではないか。あるいは、それを習慣にしてはどうかと提言したい。電話詐欺対策としても有効になるのではないかと思う。