2020年8月29日土曜日

故障


・Knuhsの書斎 から転載

── 壊れたものの処分の仕方


 最近、私は自分の使っている電子機器が次々と壊れてしまうという由々しき事態に遭遇している。最初に不具合が生じたのはパソコンである。次に長年愛用してきたオーディオシステムが壊れ、最後が(これが最後であって欲しい)書斎机の上に置いて使っていた小型のテレビである。

 それぞれに応急処置をしたり あっさりと使用を諦めたり、あるいは別の製品に買い替えたりとその都度最善と思われる対応をしてきた積りでいる。しかしあるときこれらの出来事をまとめて振り返ってみて、何故こんなに自分が大切にしているものが次々と壊れ続けるのかと、自分の不運に想いを巡らすことになった。

 電気製品の故障とは直接の関係はないが、最近自分の身体を構成している“部品”の方もいくつか故障してしまい難儀していたところだったのだ。それまでは薬を飲んだりして対症療法で乗りきってきたのだが、今回は病院へ“修理”に出したところ、即入院して手術を受けねばならなかった。幸い部品の交換はせずに手術という名の修理をして貰えたが、ここで悟ったのはいつまでも平穏な日々が続く訳ではない。何時かは寿命が尽きるときが来るという事実である。そんなことは先刻承知している積りだったが、本当のところは良く理解していなかったのかもしれない。すべてのモノには寿命があることをしっかりと自覚し、悔いを残さないように行動しなければならない年齢になってしまったのである。

 長い人生の中で自分が選択した対処法の数々は、果たしてそれで良かったのだろうか。これからは、病気になったときの身の処し方も含めてよくよく考えてから行動するようにしよう。
 モノの場合でも、今までは使えなくなったら取りあえず何処かに仕舞い込んでおき、何時かまた利用するときが来るかもしれないと安易に構えているところがあった(*1)
【注】(*1)昔は機器が壊れたらそっくりそのまま残しておいて、他の機器の修理の際に必要となる部品の宝庫として活用されてきた。特定のサイズのネジが必要になったときは捜せばすぐ見つかったものである。しかし最近の電子機器の修理ではそういう訳にはいかなくなっている。
 使用しないのなら単に放置しておくのではなく廃棄するなり、他に利用法がないか良く検討するようにしたいものだ。最近では不要になったモノでもオークションの場で売られている時代である。モノの処分の仕方も多様になってきているから身の処し方も十分に考慮する必要がありそうである。

 今回の電気製品の故障に対し、私がどう対処したかをここで振り返って見よう。

▼パソコンの場合
 故障したのは6年前に購入したノートパソコンである。数年前からキー入力時にトラブルが多発するようになった。「」,「」,「」,「」などのキーを叩いてもうまく入力されないことが屡々起こる。これらのキーはキーボードの右上周辺にあるから、私のキーの打ち方に癖があるのであろう。キー内部の接触が悪いのか文字入力が度々空振りとなる。


Dynabook T554/76LG

 昔のコンピュータのキータッチはもっと微妙な感触が得られたものだが、最近のキーボードはメンブレンキーボードと呼ばれるもので、キーボードの面を薄くすることだけに注力しているからキータッチへの配慮がまるでないようだ。そのためか、少し乱暴にキーを叩き過ぎたのかもしれない。

 最初に修理に出すことを考えた。修理に出すと戻ってくるまではしばらく使えなくなるから代替マシンが必要になる。私は、コンピュータ本体が壊れたときに備えて大切なファイル類を失うことの無いようにバックアップマシンを用意しているが、手持ちのマシンは旧OSのものばかりだったので最近バックアップ専用に最新OSを搭載した機種を購入したばかりである。処理速度の遅いマシンなので常時使うのには向いていない。しかし非常事態であるからこれを一時的に代替マシンとして用いることにした。

 しかし、どうしても修理に出す気が起こらない。最近の電子機器の修理は、特にパソコンの場合は、本体を薄くしてコンパクトに仕上げるので、故障個所を見つけても修理するのは容易ではない。あやしい部分の基盤全体をそっくり取り替えてテストし、うまくいけばそれで修理完了としてしまうことが多い。当然修理費用は高くなる。新しいマシンに買い替えた方が安く済むことさえある。

 実は、新しいマシンに買い替えたいという気持ちもあったので、機種選びで迷っていたのである。この間、メールの文章を入力している際に「たいへん」と入力したかったのに空振りで「たいへん」が「たいん」になってしまい、あろうことか“多淫”と変換されてしまうことが頻発した。これでは困る!! 何とかしなければ。

 そこで、キーボードだけ買えばいいじゃないかと思い付いた。早速、ブルートゥース(Bluetooth)(*2)のキーボードを購入することにした。これが思いのほか使い易く、一つのキーボードでパソコン、スマートフォン、タブレットなどに入力できるようになったので大変便利である。当分このやり方でゆくことにした。
【注】(*2)Bluetoothとは、近距離無線通信の規格のひとつでパソコンやスマートフォン等の情報機器やオーディオ機器をお互いに無線で接続し、機器間でデータをやり取りできるようにする。

ELECOM製 Bluetooth 薄型キーボード
(パンタグラフ方式)

▼オーディオシステムの場合
 20年くらい使い続けているケンウッド社製のミニコンポである。以前はリビングルームに置いてオーディオシステムとして使われてきた。しかし今は半分引退して私の寝室に置いてある。主に朝ベッドの中で聞くラジオとして使われてきた。


ケンウッド社製のミニコンポ
SH-3MD Avino

 年を取ると早朝あるいは深夜に目覚めてしまうことが多いから退屈しのぎに音楽とか深夜放送とかを聴くのに用いている。長く使ってきたので本体のコンソールのライトが不調で時々消えてしまうのだ。その内にライトが消えている時間の方が長くなり、偶にご機嫌が良いとライトが付くという状態になってしまった。ライトが付かないとシステムが現在どういう状態なのかがまるで分からない。こうなるとリモコンが頼りで、リモコンがないと何もできなくなる。

 更に悪いことに、夜中にリモコンを使っていて暗がりで屡々取り落としたりしていたためか、突然リモコンが使えなくなってしまった。電池交換しても動作しない。とうとうリモコンも壊れてしまった。


ミニコンポ用のリモコン

 本体のスイッチ類を直接操作することは滅多になかったので操作法に不慣れである。もはや昼間でも手探りで使っているようなものだ。この期に及んでようやく私もミニコンポの寿命が尽きたことを理解したのであった。

 毎朝のラジオが聴けなくなるのは困るからとにかくラジオを買うことにした。CD付ラジオを買ったのだが、オーディオシステムの音声と比べると当然ながら音がよくない。とりあえずこれで我慢することにしよう。


(新しいラジオ)
東芝ハイレゾ対応SD/USB/CDラジオ
TY-AH1 Aurex [ワイドFM]

▼テレビの場合
 ポータブルのDVD内蔵地上波テレビである。約10年使ったが寿命が尽きるのは少し早い気がする。書斎のデスクの上に置いてパソコンを使いながら見るというスタイルで使ってきた。それが、突然画面の色が白っぽく変化して消えてしまうようになった。電源スイッチを入れた当座は良いのだが時間の経過とともに次第に画面の色が白くなり見えなくなる。色調の変化はテレビ本体の問題であろうと考えて諦めることにした。


東芝 SD-P12DTK DVDプレーヤー内蔵
地上波デジタルテレビ

 しかし内蔵DVDの方は正常に動作するので、まだまだ利用価値があるかどうか検討することにした。代わりのテレビを早速発注し、19型の地上波と衛星放送が見られる機種を選んだ。

▼後始末
 こうして、ここ数ヶ月間で起こった身の回りの電子機器のトラブルはすべて解決したが、それぞれ不要になって残されたモノをどう処分するかの問題が残された。できるだけ無駄にならないようにその後の行き先を考えないと何時までも不要な物が私の手元に残ってしまうからである。

・パソコンの修理は“部品の追加”で
 キーボードの代替品を買ってBluetooth接続で使っているから何も不用品は出ていない。ノートパソコンの画面が小さいのは、老眼の私には不向きだったので大型スクリーン(ProLite XUB2792HSU HDMI iiyama)を追加して2つの画面を使えるようにしたので大変使い易くなった。当分新機種に買い替える必要もなさそうである。


大型ディスプレイと追加のキーボード

・オーディオシステムの修理は“機能分割”で
 ラジオ機能のみ新しいラジオに置き換えた。オーディオシステムはどうするか。当分使わないので、分解してクリーンアップしてみたいのだが、分解する方法が分からないので現在研究中である。

 インターネットで調べていたら同じミニコンポが多数オークションに出されているのを見つけた。うまく動作しないものも売りに出されているのを知った。リモコンが単独で売りに出されているのを発見したのも驚きであった。これを買う手もあるが、一体売主はどういう状況でリモコンだけを売りに出したのか知りたいところである。本体が手元にないとすれば、このリモコンがうまく動作する保証もない。迂闊には手を出せないと思った。

・テレビの修理は“置換”で
 古いテレビは廃棄する積りだったが、内蔵DVDは使えそうである。DVDの再生だけなら使えそうで迷っていた。その後、義息子が修理して使ってくれることになった。何んと(!)、部品の一部が曲がっているのを直したら映るようになったと言うではないか。これで廃棄する必要はなくなった訳である。目出度し! 。