2013年3月28日木曜日

桜の花の色について

 最近の桜の花は、昔に比べて白くなっているのではないかと言う人が多い。もちろん桜にも色々な種類があるが、ここでは染井吉野に限った話である。

 その理由として、次の二つが考えられる。
(1)単なる気のせい

(2)紫外線の影響
 高齢者は紫外線を長年浴びてきたので色覚に異常が生じ、そう感じるだけ。

 成程、高齢者が派手な赤い衣服を着ていて時々違和感を感じることがあるが、本人は茶系のシックな身なりをしている積りなのだという話を以前聞いたことがある。それと同じことなのかもしれない。
 しかし若い人の中にも「白くなっている」と感じる人が多いというから、必ずしも色覚異常だけが原因とも思えない。

 もう一つある。
(3)勘違い
 これは私の感想だが、“桜”と言えば“入学式”を思い出すように、校門の前で親子の晴れ姿を写したものをよく見かける。パンフレット等に載っているそういう写真では、必ず背景に桜が入っていることが多い。“入学式”をアピールする際に使われる典型的なパターンといえよう。しかもその桜の花の色合いは桃の花かとみまごう程の強いピンク色なのである。そういう写真を長年見せられていると、誰でも桜の花の色と言えばこの強いピンク色であると頭の中に刷り込まれてしまうのではないか。

 年配者の思う桜は入学式と結びつき、ただ思い出の中にある遠い昔の桜を見ているに過ぎない。そしてその桜の花の色は、後から刷り込まれたものであろう。何しろ彼らの時代は、モノクロ写真全盛の時代であったから、当時の桜の花の色などどこにも記録されてはいないのである。

 昨夜、雨戸を閉めようとした時、庭にある満開の桜の木から白い花びらが、静かに、静かに、降り続けているのに気がついた。人けのない暗闇の中で、ただ黙々と自分の役割を果たし続けているかのように見えた。

     霏々として 桜降り積む 雪の如くに (字余り)

 しかし今思い出してみると、あれはピンク色の花びらだったような気もしてくる。勘違いであろうか。
 桜の花が、次の日曜日までもってくれると良いのだが…。

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