2019年7月17日水曜日

私の本棚(40):吉里吉里人


・ブログ (ドッと混む・Knuhsの書斎) から転載

── 吉里吉里人きりきりじん


 私の本棚を紹介します。
 第40回は、井上ひさし著の 吉里吉里人 きりきりじんを取り上げます。
なお、既に紹介済みの本の一覧は の目次から参照することができます。


(1)「 吉里吉里人 きりきりじん
 写真の帯からも分かるように、本書は第2回日本SF大賞を受賞しています(詳細は【解説欄】を参照してください)。


 ( 安野光雅画伯による装幀 ) 


 
( 表表紙 )          ( 裏表紙 )



 ( 重厚で豪華な装幀 ) 


【解説欄】

吉里吉里人きりきりじん
 東北地方のある村が、突然「吉里吉里国」として独立を宣言します。日本政府はこれに反発し、いろいろと策を講じますがどれもうまくいきません。吉里吉里国側は食料やエネルギーの自給自足、あるいは独自の金本位制を掲げて存続を計ります。その出来事の一部始終を記録係わたしが全28章にわたって詳細に報告してくれます。

 また、この独立国の国語である「吉里吉里語」(東北弁、いわゆる“ズーズー弁”)の会話はルビを駆使して表記されています。作中で『吉里吉里語四時間・吉日、日吉辞典つき』という小冊子の内容(の一部)が詳細に紹介されていますから、ズーズー弁の正しい使い方を学ぶこともできるようになっています。

 ここで、老婆心ながら一言注意を申し上げたい。これ以降を読みたい方は、貴方(貴女)の周囲に自分以外誰もいないことを一応確認しておいた方が良いと思います。何しろ“笑いの発作”が起こると止まらなくなる可能性なしとしないからです。顎が外れそうになり、涎を垂らしながら苦し気に笑いこけている姿など、誰も他人には見せたくないでしょうからね。

 正しい発音を習得できるようルビが振ってありますから、それに従って発音してみて正しいズーズー弁・・・いや吉里吉里語で話せるようになったことを確認できると、(私の経験では)自然に笑いの発作が起こってしまうのです。是非気を付けてお読みください。
 ルビに従って先ず読んでみましょう。次に、後半に出てくる中舌なかじた母音の発声法を習得した後で、もう一度、正しい吉里吉里語で、“声を出して読む”ことをお勧めします。

▼吉里吉里国歌
 以下に、吉里吉里国歌の歌詞(実は、これは2番の歌詞)です。

 ( 吉里吉里国の国歌 ) 


▼目次
 以下は目次です。全28章から成っています。


 ( 目次 ) 


▼冒頭の文
 「吉里吉里人」第一章の最初の書き出し部分です。この冒頭の文を一息で読み下す(*1)ことができれば、多分この分厚い「吉里吉里人」を最後まで読了するのはそれほど難しいことではないと思います。
【注】(*1)ただし、一息で読み下そうと無理をして、もし貴方(貴女)が健康を損ねるようなことになっても、当方は一切責任を負えません。

 ( 冒頭の長文 ) 

 なお、冒頭の文について関心のある方は【私の作文作法】(7)「冒頭の文の書き方」を参考にしてください。


▼吉里吉里語への翻訳事例
・「坊つちゃん」
 主人公が、夏目漱石の「坊つちゃん(*2)」の吉里吉里語版に出会う導入部です。吉里吉里語版のタイトルは「坊っちゃ(*3)」となっていいます。
【注】(*2)「坊つちゃん」のつづりに注目。夏目漱石の原作は“坊つちゃん”です(「つ」は促音ではなく「ゃ」のみが促音)

【注】(*3)井上ひさし作品では、夏目漱石の日本語版を“坊っちゃん”と表記しています
(「っ」も「ゃ」も促音)。翻訳版では“坊っちゃ”となっています(「つ」と「っ」の見分け方が難しい)

 ( 吉里吉里語による「坊っちゃ」-1 ) 

 ( 吉里吉里語による「坊っちゃ」-2 ) 

・川端康成の「雪国」の吉里吉里語翻訳


 ( 吉里吉里語による「雪国」 ) 

▼発音学習
・中舌母音の発声法


 ( 中舌母音-1 ) 


 ( 中舌母音-2 ) 

・濁音化と鼻音化の原則

 ( 濁音化と鼻音化-1 ) 


 ( 濁音化と鼻音化-2 ) 


 ( 濁音化と鼻音化-3 ) 


 ( 濁音化と鼻音化-4 ) 


▼著者


著者:井上ひさし氏

▼本の詳細
(1)「吉里吉里人きりきりじん:(c)1981, 発行:昭和56年8月25日, 15刷:昭和56年12月15日, 著者:井上ひさし, 発行者:佐藤亮一, 発行所:株式会社新潮社, 定価 1900円, 第33回読売文学賞, 第13回星雲賞, 第2回日本SF大賞を受賞, 日本図書コード:0093-302312-3162




















































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