2017年10月24日火曜日

アストロドームの思い出


・ブログ( ドッと混む・Knuhsの書斎 )から転載


── アメリカ人の発想のスケール


 ヒューストンのアストロドーム(Astrodome)で行われていたアメリカン・リーグ優勝決定シリーズ第7戦で、ヤンキースは0-4でアストロズに敗れてしまった。今年は、これでもう田中投手の応援も店じまいということになる。残念である。

 しかし私にとっては、テレビ画面でアストロドームでの試合風景が眺められるので、もうしばらくの間昔の思い出にひたる時間が与えられたことになる。実は、1982年のNCC(National Computer Conference)に参加したのだが、その会場がアストロドームだったから、私にとって懐かしい場所なのである。


アストロズの記念キーホルダー

 アストロドームは1962年に世界初の多目的ドームとして作られた。東京ドームができたのが1988年であるから、日本にはまだ屋根付きの野球場などなかった時代である。NCCの行事に参加しながら、昼休み時間に同じ建屋内にある「屋根付き野球場」なるものを生まれて初めて見ることができた。フィールド上では何も行われていなかったが、内野席に座ってランチを食べながらその威容を隅から隅までじっくりと観察することができた。そして、それを造ったアメリカ人の発想の大胆さと実行力にただただ敬服したのであった。


当時のアストロドーム

 ヒューストンは雨の少ない場所なのに、なぜ「屋根付き球場を建てよう」などという発想が生まれたのか、私は不思議で仕方がなかった。聞くところによると、彼らテキサスの人々は冷房の効いた涼しいところでベースボールを楽しみたかったのだそうである。なるほど、そういうことなのか。
 快適さを追究するために、典型的な野外スポーツであるベースボールを(その伝統を破って)屋内で楽しむという大胆な発想の転換をはかったのである。

 先日行われた日本のクライマックスシリーズでは、悪天候のもとで文字通りの“泥仕合”が展開されていた。泥まみれでプレイする選手たちが気の毒になる程であった。ああいう場面を見せられると誰しも屋根付きの野球場がほしいと思う。しかし夏の甲子園球場で、炎天下のきびしい環境のもとプレイする高校球児たちを見ても「屋根付きの野球場がほしい」という声はついぞ聞いたことがない。日本では涼しさという快適さはあまり重視されないように見える。

 試合の条件を余り劇的に変えてしまうと面白くなくなると言う人が多いからであろう。伝統を重んずるスポーツでは、同じ条件下で戦った記録のみがお互いに比較する上で意味を持つからである。しかし最近は、野球のルールも変更されるようになってきた。特に選手が怪我をする可能性のある状況をできるだけ避けるため、ルール変更で厳しく制限されるようになってきている。当然、試合環境の方も改善されていくべきであろう。

 亜熱帯化しつつある日本の気候では、野球の試合中に熱中症で倒れる観客や選手が出てくる可能性が考えられる。そうならない様、今から対策すべきではなかろうか。そろそろ甲子園の高校野球も、屋根付き野球場で行うよう改変されたらどうであろう。観客も選手たちも、それぞれ快適な環境で野球を楽しめるようにしてほしいものである。

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