2018年11月28日水曜日

私の本棚(39):NATIONAL GEOGRAPHIC


・ブログ (ドッと混む・Knuhsの書斎) から転載

── ユダの福音書を追う


 私の本棚を紹介します。

 第39回は、特定テーマ月刊誌:NATIONAL GEOGRAPHIC(2006-5) から「ユダの福音書を追う」を取り上げます。


 上掲写真は、
特定テーマ月刊誌:「NATIONAL GEOGRAPHIC(2006-5) ナショナルジオグラフィック日本版:ユダの福音書を追う」です。

 2006年、衝撃的なニユースが流れました。20世紀後半に発見されていた古代文書の内容が一部公表されたのです。それによると、十二使徒(*1)の内、イエス・キリストを裏切ったと思われていたユダの人物像が一変してしまう可能性がでてきたのです。

 新約聖書(*2)によれば、イスカリオテのユダはイエス・キリストを裏切った人物とされています。イエスの死後、様々な教えを説く福音書(*3)が存在しましたが、新約聖書に収められているのは、その中で「正典」と認められた、マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの4つの福音書です。一方、ユダの福音書は「禁書」として厳しく批判されてきたのです。

 ユダの福音書は、後の弾圧によってほとんど破棄されてしまったのですが、1945年、考古学史上を揺るがす驚くべき発見がありました。それがナグ・ハマディ文書と呼ばれているものです。
 これら資料の発見と盗難、修復や鑑定の過程を克明に追った迫真のノンフィクション『ユダの福音書を追え』 ハーバート・クロスニー著, 2006/4/29 が出版されています。本書で紹介されているのは、そのダイジェスト版ということになります。

【基礎知識】

【注】(*1)十二使徒とは?
 イエスに宣教者として選ばれた弟子で、以下の12人。(1)シモン・ペトロと兄弟の(2)アンデレ、ゼベダイの子(3)ヤコブと(4)ヨハネ、(5)マタイ。(6)フィリポ、(7)バルトロマイ、(8)トマス、アルファイの子(9)ヤコブと(10)タダイ、(11)シモン、そして(12)イスカリオテのユダである。

【注】(*2)聖書とは?
 紀元前3世紀頃までに書かれたユダヤ教とキリスト教共通の正典『旧約聖書』と、紀元1~2世紀に書かれたイエスや使徒の言行、各地の教会への手紙などを収めた『新約聖書』とで構成されている。

【注】(*3)福音書とは?
 イエスの言行録の形をとった文書。教会が認める正典として新約聖書にされたのは、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの4書。聖書から外されたキリスト教文書(外典)にも福音書とされるものが多数あり、『ユダの福音書』はその一つである。


【解説欄】

特定テーマ月刊誌:「NATIONAL GEOGRAPHIC(2006-5) ナショナルジオグラフィック日本版:ユダの福音書を追う」


 ( 表紙 ) 



 ユダは裏切り者ではなかった ━━ 1700年前のパピルス文書が明かす、衝撃の物語。


 パピルスに記された文書は、エジプトの砂漠にひっそりと眠ったまま長い歳月が過ぎ去った。再び見いだされた時にはパピルスはぼろぼろに朽ちかけ、その内容は永遠に失われる寸前だった。


 「イスカリオテのユダとの対話でイエスが語った秘密の啓示」━━『ユダの福音書』冒頭より


 「お前は真の私を包むこの肉体を犠牲とし、すべての弟子たちを超える存在になるだろう」━━イエスがユダに語った言葉


 初期キリスト教の思想家たちは、教団がユダヤ教の一分派という地位から脱却をはかる過程でイエスの捕縛とと処刑の責任をユダヤ民族に負わせたほうが都合がよいと考え、ユダをユダヤ人の典型として描く傾向を強めていった。新たに発見された「ユダの福音書」に描かれたユダ像は、従来の記述とはまるで違っていた。次のページには、「福音書の紛失と発見の歴史」が詳細に紹介されている。


 1945年、エジプトの町ナグ・ハマディの近郊で農民が偶然掘り出した土器の壺の中から、長年地中に眠っていた文書群が発見された。そこには『トマス福音書』『ピリポ福音書』『心理の福音書』など、キリストの教えを記した未知の文書が10点以上含まれていた。そして今回新たに見つかったのが『ユダの福音書だったのである。


 このページに、最も重要なことが書かれています。


 「聖書に描かれたユダ像」:
 確かに、悪意に満ちた記述になっているように読めますね。


 最後の晩餐におけるユダとされる人物の位置

▼本の詳細
『ナショナルジオグラフィック日本版』「NATIONAL GEOGRAPHIC (2006-5)」『ユダの福音書を追う』p40 から p59:文=アンドリュー・コックバーン, 写真=ケネス・ギャレット, 訳=杉浦茂樹, 2006年5月号(第12巻 第5号 通巻134号)、日経ナショナルジオグラフィック社
(c)日経ナショナルジオグラフィック社, ISSN 1340-8399


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